COLUMN
2022/02/22

マネジメント体験を起点にデータドリブンな企業カルチャーへ変革 ―経営管理DXの負のスパイラルからの脱却―

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日本企業が競争力を高めるうえでデータドリブン経営の実現は必須の取り組みだ。企業が持つデータをいかに流通させ、経営層や各部門業務の意思決定までのプロセスを効率化・高度化するか、その課題解決に向けた経営管理DXの取り組みが本格化している。しかし、経営管理DXに向けて経営指標を再デザインし、新たなテクノロジーを駆使しながらアジャイルに新たな仕組みを構築しているにもかかわらず、いまだ属人的な経験と勘のマネジメントや文化から脱却できない企業は多い。経営管理DXの成功には、テクノロジーや指標のデザインだけでなく、経営や従業員のマネジメント体験の再デザインと、その体験の変化を素早く実感させ、経営層や従業員の行動やマインド変革へモチベートしていくアジャイルアプローチが鍵となる。経営管理DXに取り組む企業の失敗・成功事例を交えて、Ridgelinezの実践的な経営管理DXのアプローチ方法をご紹介する。

データドリブンな経営管理の理想と現実とのギャップ

ERPの再構築によって日本企業の一部では、すでに業績の早期把握や実績と計画の比較・分析により打つべき施策を経営や各部門で検討できるようなってきている。自社内のデータを集約したDWHや顧客情報を統合管理するCRMシステムを構築し、そこにAIといった新たなテクノロジーも駆使することで、経営管理を高度化させようと長年取り組んでいる日本企業も少なくはない。

しかし、いまだ多くの企業では、企業内のイベントに合わせて各部門が一斉にシステムからデータを抽出し、ローカルにあるデータと組み合わせながら各部門間のバケツリレーで作成されたExcelやPowerPointで作成した資料やレポートの提出と報告が繰り返されている。例えば、経営企画や各事業本部からの依頼に基づき、月次や四半期単位で設定されている経営会議や各部門のマネジメント会議で、業績をはじめとする各指標の進捗状況や目標との差異に対する報告内容のまとめに多くの工数とリソースを割いているのが現状である。

本来、企業が目指したいデータドリブンな経営管理とは、マネジメントに関わる非効率な作業を徹底的になくし、日次やリアルタイムに事業や業務の各種予算との乖離の兆候をいち早く捉え、予算達成に向けた先手の施策検討にリソースをシフトさせ、意思決定を迅速に実施する、そして経営管理やマネジメントに関わる業務や作業だけでなく経営や部門のマインド・文化そのものが変革できた状態に生まれ変わることではないだろうか。ERPの再構築や新たなテクノロジーの導入に長年高額な投資をし続けてきたものの、限定的なプロセスのデジタル化やツール導入にとどまり、企業文化の変革・定着までを見据えた経営管理DXによる効果や成果を実感できている日本企業はまだまだ少ない。

経営管理DXで陥りがちな典型的な失敗例

一般的に経営管理DXでは、2つのアプローチのいずれかを採用する企業が多い。

(1)マネジメント指標の体系化を起点にしたアプローチ:企業内でマネジメントしている財務・非財務指標を再デザインし、各KPI(Key Performance Indicator)/KRI(Key Risk Indicator)ツリーの体系化を起点に指標の優先順位を決め、段階的にデータ整備しながらBIによる可視化やAIを活用した予測の仕組みを構築していくアプローチ

(2)プロトタイピングを起点にしたアプローチ:特定のマネジメント業務や指標に絞って現状では不完全なデータであることを承知でBIやAIのプロトタイピングを実践しながら実現性を検証・評価しながらスコープを拡張していくアプローチ

上記2アプローチのいずれかをベストプラクティスとして選択している。

これらのアプローチは経営企画や事業部門がリードするケースもあれば、IT部門や新設されたDX推進部門がその役割を担うケースもある。経営管理DXをリードする部門が業務ノウハウや課題認識を強く持っている場合はKPIツリーの体系化を起点したアプローチが、ITリテラシーや最新テクノロジーの活用を軸に置いた場合はプロトタイピング起点のアプローチが採用されやすい。

しかし、このベストプラクティスと思われるいずれのアプローチにも経営管理DXを阻む落とし穴がある。

(1) マネジメント指標の体系化を起点にしたアプローチの落とし穴:期待外れ

中期経営戦略や事業計画のモニタリング指標としてPL/BS/CFといった観点で財務指標を構造化し、その財務指標のドライバーとなる業務KPIを紐づけて指標のツリー構造を体系的にデザインすることで、経営層や各部門で見たい指標は定義され、企業でマネジメントすべき指標の全体像は整理できる。

しかし、新たな指標はデータが整備されなければ可視化することができず、ほとんどの場合、新指標の可視化は後ろ倒しになる。直近で可視化できる指標となると、現状Excelで報告される資料の一部が部分的にグラフ化され、時間と労力をかけた割に手作業で報告している内容よりデグレードしたようになり、経営層や各部門からすると期待外れとなりがちである。

(2) プロトタイピングを起点にしたアプローチの落とし穴:使いどころがない

業績管理や予算策定といった可視化するテーマや指標を仮設定し、サンプルやダミーデータを用意しながら新たな指標含めBIツール等を活用してプロトタイピングを実施することで、これまでモニタリングできていなかった指標や変化を捉えるビジュアライズイメージは具体化できる。

しかし、プロトタイプ単体でのイメージは具体化できても、現行の経営や事業マネジメントの業務へ組み込めず、実務で活用・評価しようにも使いどころがなくなってしまう。プロトタイプ単体で新しい業務として運用するにも現行のマネジメント業務に手一杯な各部門では活用が進まず、データ整備を含めた運用が成り立たない。そのため、経営層にも提示できずにプロジェクトは停滞、もしくは終了するケースがほとんどである。

経営管理の高度化に取り組んだことがある読者の中には、いずれかのアプローチで同じような経験をしたことがある方もおられるのではないだろうか。多くの企業が企画・構想の段階で足踏みしており、仮に実行・定着化の段階に移ったとしても経営管理DXを進めては中断を繰り返し、負のスパイラルを抜け出せないでいる。(【図1】参照)ちなみにDXの失敗要因として、「スキル・人材不足」「データ未整備」「実行リソース不足」などがよく挙げられるが、単にこれらの課題を解決したとしても同じように失敗し、持続的な企業変革を実現することは難しいと筆者は考えている。本コラムでは、経営管理DXを阻む真の原因はどこにあるのか、その答えと解決方法について事例も踏まえて解説していく。

【図1】DXの負のスパイラル

マネジメント体験を起点にした経営管理DXが成功の鍵

経営管理DXの典型的な失敗例では、なぜ「期待外れ」「使いどころがない」といった結果になってしまったのか?

経営管理DXに成功している企業との対比から、2つのことが分かった。1つ目は、成功企業は全く新しいアプローチを採っているわけではなく、上記の2つのアプローチのいずれかを選択していること。2つ目は、どのアプローチであれ、下記の3つのポイントを組み込んでいるか否かが、経営管理DXの成否を分けていることである。

(1) 指標ではなく、体験の再デザイン

経営管理では、中期経営計画や投資家へコミットした財務目標の達成に向けて、企業活動やリスクをKPI/KRIとして体系的に定義することは非常に重要である。しかし、経営管理DXを確実に推進している企業の多くは、各種指標の体系化までは初期段階では実施せず、重要指標をリストアップするまでにとどめている。では、成功企業はここから何が違うのか?

この重要指標の組み合わせについて、どのマネジメントや会議体に活用するかを特定し、これまでの会議体での体験を変革するためのストーリーをデザインすることに検討をシフトするのである。つまり、企業が設定する中長期・年間のイベントの中にある月次の経営会議や四半期ごとの業績確認、各事業部門の予算策定や定期的に開催される投資審査会といった企業の経営を支える会議体にフォーカスし、各会議体のアジェンダにリンクするBIレポートやダッシュボードをプロトタイピングしていく。言い換えれば会議体やアジェンダにリンクしない「使いどころのない指標やプロトタイプ」は不要という考え方である。指標にフォーカスするのではなく、具体的な会議体という出口での体験をどのように変革するかにフォーカスすることが経営管理DXを加速させるのだ。

(2) 現行マネジメント業務へのケア

経営や事業部門は、年間のイベント・スケジュールに沿ってPDCAサイクルを回し、経営管理を行っているわけだが、現状のマネジメント業務を継続しながら経営管理DXを進め、変革を加速できる企業は多くない。

例えば、四半期に1度、経営企画からの指示で各事業部門が業績の進捗状況を報告する業務では、以下の①~⑤までの作業を3か月かけて実施し、次の四半期報告を繰り返すのである。

① 各事業部門で持つデータを部門担当が最新化
② 部門が管理するフォーマットで数値を取りまとめ、関連部門と確認・調整
③ 経営企画から配布された報告用フォーマットに調整後の数値を転記
④ 経営企画は経営報告向けの事業部門のサマリーを作成
⑤ 事業部門は提出した数値で予算との差異やリカバリー方策を資料化し経営へ報告

当然、事業部門の各部署では本業もあり、その中で経営管理DXによって新たなマネジメントをこれ以上組み込む余裕はない。では、マネジメント体験の再デザイン後、経営管理DXを停滞させないためにはどうすればよいのか?

それは、マネジメント体験の変革の対象とした会議体やアジェンダにリンクする現行レポートやその作成までの作業を棚卸し、新たな経営管理や体験を組み込むための余白を作り出すことだ。つまり、これまで仕事にしていた現行レポートや作成作業の廃止やスリム化を関連部門と初期段階でオーソライズし、経営管理DXを進めるために現行マネジメントの置き換え・負荷低減をケアするのである。

そうなると、まずは特定部門に閉じたマネジメント会議や業務にフォーカスした方がスモールスタートできると考えがちだが、そうではない。経営管理DXを短期的に企業内で加速させるには、経営会議や予算会議といったイベントにフォーカスし、経営や関連部門と既存業務の廃止・スリム化を視野にプロトタイピングを進めることが企業全体のマネジメントを変革し、データドリブンな企業文化醸成への近道になる。実はこの「現行マネジメント業務をケアする」という発想が、意外と経営管理DXを進めるうえで抜け落ちる企業が多い。

(3) 1か月単位での成果コミット

経営管理における新たなマネジメント体験の再デザインと現行業務へのインパクトをケアすれば、経営管理DXが進むのは間違いない。しかし、企業内のどの部門が経営管理DXをリードするとしても、変革による成果を体感できなければ、企業文化の変革という大きな山をモチベートし続けながら登りきることはできない。経営管理DXに限らず、1年、2年、それ以上かけても成果の見えない企業変革は経営や事業部門の期待値を下げ、必ず道半ばで中断する。では、経営管理DXとして、いつ、どういった成果を上げてモチベートしていけばよいのか?

経営管理DXにおいて、経営層からその成果を高く評価してもらい、活動を継続できている企業は、「目に見える変化の体感・成功体験」と「効率化や事業インパクトへの貢献といった定量的な成果」を追求している。例えば、経営管理DXの検討開始後、最初の1か月で経営会議の一部のアジェンダや体験をBIでプロトタイピングし、再デザインした体験シナリオと合わせて経営層へデモンストレーションを実施、2か月目には現行の指標やレポートと併用して経営会議で活用する全社アナウンスを実施し、3か月目には実際の経営会議で一部アジェンダやレポートを置き換えて会議運営する。そして、4か月目にはプロトタイプによる変化対象のマネジメント体験を増やすと同時に、経営層の身近なデバイスや環境を整える。このように1か月単位で経営層や関連部門に新たな体験をアジャイルに提供し、目に見える変化を感じることで経営層をはじめとした関連部門に対し、使いどころと期待値をコントロールしながら経営管理DXをモチベートしていくのである。

さらに、現行マネジメントのケア時に時間的な効率化の見込みもセットで各部門とオーソライズし、効率化した時間は新たな業務へシフトできたか、経営管理DXで取り組んだマネジメント体験の数だけ、その効果を定量的にモニタリングしながら経営層の評価を受ける。これまでの時間が新たなマネジメントへシフトできてこそ、再デザインしたKPIやKRIの改善に向けた施策が打て、データドリブンな経営管理が定着することで事業インパクトへの貢献につながっていくのだ。

現在、指標の体系化やプロトタイプ起点で発想したアプローチで試行錯誤し、負のスパイラルを経験されている読者の方は、マネジメント体験を起点にした経営管理DXのアプローチを試してみてはいかがだろうか。

データドリブンな企業文化へ変革するRidgelinezの経営管理DXアプローチ

Ridgelinezでは、これまで多くの企業と共に推進してきた実績から経営管理DXに有効な方法論を整備しており、企画・構想と実行・定着の2つのフェーズで経営管理DXに必要な検討プロセスや有効なアウトプットを定義している。

企画・構想フェーズ :マネジメント体験変革に向けたプロジェクトデザイン
実行・定着フェーズ :データドリブンカルチャーへのデュアルアジャイルメソッド

これまで経営管理DXがうまく進められなかった読者向けに、本コラムでは企画・構想フェーズでの方法論をご紹介する。実行・定着フェーズについては、マネジメント業務・組織とデジタルの両輪で企業文化を変革・定着化させる実践方法をRidgelinezのフレームワークとして体系化しており、こちらの内容についても経営管理DX実践例のコラムとして今後シリーズ化し、より具体的に紹介していきたい。

経営管理DXの企画・構想フェーズで実施すべきプロジェクトデザイン

企画・構想フェーズでは経営管理DXの成果を素早く体感し、実行・定着フェーズへ移行できる準備や計画を立案することが重要であり、まず3か月程度で行う経営管理DXの初期評価と次フェーズへの実行計画立案に向けたフレームワークを紹介する。このフレームワークで重要なポイントは、人と成果にフォーカスしたプロジェクト運営を徹底することである。経営管理DXのプロジェクトを推進していく中で、最初に定義したゴール・成果・ロードマップに固執するのではなく、常に関連部門との関係性やモチベーション状況を踏まえてアップデートすることが重要であり、Ridgelinezはクライアントと共に下記6つのプロセスをプロジェクト運営に組み込むことで経営管理DXの負のスパイラルから抜け出す。(【図2】参照)

【図2】経営管理DX成功の取り組みとRidgelinezが推奨するアプローチ

(1) 体験・指標・効果をマネジメントストーリーとしてデザインする

経営や事業部門が設定する年間のイベント・スケジュールを一覧化し、各マネジメントの現行アジェンダをベースにAsIs/ToBe/Targetを整理したうえで、意思決定までに必要な指標とその状態、意思決定後の指示系統をマネジメントストーリーとして定義し、そこから現行の体験とのギャップを課題として抽出する。また、新たなマネジメント体験に必要な指標に関しては、財務・非財務とパフォーマンス・リスクの軸で分類し、マネジメント体験のAsIsとToBeに各指標をプロットすることで、体験と指標を分断せずセットで検討していく。さらにマネジメントストーリーのデザインでは、新たなマネジメント体験を実現することで得られる意思決定までの作業短縮等の効率化による効果と、効率化した時間でシフトした業務による改善インパクトも併せて関連部門と検討していく。
この体験と指標、効果の観点によって、関連部門と合意すべき事項が網羅的にデザインでき、マネジメントストーリーによって経営管理DXによる変革後の変化点の要素が構造化される。そして、マネジメントストーリーのデザインが起点になり、企業内のマネジメント体験の変革と効果に対するインパクトの高い領域から経営管理DXがスタートしていくのである。

(2) 指標の元となるデータアセットを一覧化する

指標を体系化したとしても、指標を構成するデータソースを調査しきれず、設計した指標がマネジメントに活用されないという失敗例は説明したとおりである。初期段階では網羅的な検討は時間と労力に見合わないため、先ほど定義したマネジメントストーリーの中で優先度の高い体験に必要となる指標から順次データアセットとして一覧に情報を集約・アップデートしていく。システム化されたデータかローカルデータかの分類や、そのデータオーナー、指標を算出するうえでの現状の課題の有無、その課題への暫定的・恒久的な対応策と今後のアクション、時期、現時点での合意事項をデータアセットとして管理することにより最小限の労力でデータに関する課題が明確にできる。

(3) マネジメントストーリーとデータアセットからプロタイピングする

経営層や事業部門は、マネジメントストーリーを定義したとしても、目に見える形で体感できなければ納得感を持てないことがほとんどである。そのため、マネジメントストーリーとデータアセットをインプットとしてBIツール等を活用してプロトタイピングし、経営や事業部門と共にプロトタイプと新たな体験のブラッシュアップを繰り返していくことが重要である。マネジメントストーリーとデータアセット、プロトタイプの3つを同時並行に検討しながらデータドリブンな経営管理を具体化していくのである。

(4) スリム化する現行マネジメントを特定する

新たなマネジメント体験が具体化できれば、そのプロタイプで不要になる作業やレポートを特定する。業務フローや現在の会議体一覧があれば、そこから特定できるが、ない場合は経営企画や関連部門とで現在作成しているレポートをベースに確認していく必要がある。特定した業務に関する情報は、経営管理DXの効果の根拠となる効率化や高度化の対象業務としてマネジメントストーリーをアップデートする。また、プロタイプに関しても、マネジメントストーリーでアップデートした現行の作業やレポートを不要にするために必要な要件もインプットに加え、関連部門へのメリットを訴求してブラッシュアップを進めていく。

(5) 経営や役員会のアジェンダでプロトタイプを評価する

経営管理DXの企画・構想フェーズを3か月とした場合、上記(1)~(4)を2~3サイクルは繰り返していく。経営層とのプロタイプ体験会を1か月目に最低1度は実施し、経営層からの要求をベースにマネジメントストーリーとプロトタイプをアップデートしていく。3か月目には、経営会議や役員会では現行のレポートと併用でも構わないので、デジタルを活用した会議運営をトライアルする。間違いなく期待と要求がエスカレートするのと同時に、経営層を中心に実行・定着に向けたモチベーションは確実に上がる。経営管理DXの加速は、マネジメントストーリーで整理したマネジメント体験に対し、経営層や関連部門からの要求や課題をリストアップし、1か月単位で成果を出し続けるプロジェクトマネジメントをコミットできるかどうかにかかっている。

(6) 経営管理DXメニュー全体像と実現ロードマップを設定する

上記(1)~(5)のプロセスでは、企業内で優先度の高いマネジメント体験にフォーカスし、企業内のデータドリブンな経営管理実現に向けた助走をしてきた。ここから本格的な変革を実行し定着させていくためには、経営管理DXの構想として全体像も示しておく必要がある。Ridgelinezでは、企業・事業価値の最大化に向けて財務目標および成長戦略における損益・投資・リスク・ポートフォリオマネジメントの観点で経営および事業部門のマネジメント業務を標準的なメニューで体系化している。この経営管理全体のマネジメントメニューを企業の言葉や業務に合わせてカスタマイズしながら紐づけ、これまで作成したプロタイプや、いまだ企業内に散在しているレポートやコンテンツを整理することで、企業として高度化していきたい領域を特定し、優先順位を設定でき、実行計画のインプットとすることができる。企画・構想の最終アウトプットの中で経営管理全体のマネジメントメニューの全体像と、(1)~(5)までの取り組みの位置づけが明確になることにより、経営管理DXの今後の展望を企業全体で共有することにつなげることができる。

この6つのプロセスを経営管理DXの企画・構想フェーズで実践することで、これまで経営管理DXの実行・定着のフェーズに移れず、企画・構想しては中断の繰り返しという経験をしていた読者には、この負のスパイラルからはぜひ抜け出してもらいたい。そして、経営管理DXの実行・定着フェーズでは、マネジメント体験を起点にしたアプローチでモチベートしたまま、経営管理機能を支える体制づくりや組織変革、企業内のシステムとの関連を含めたガバナンスルールや統合アーキテクチャーの再デザイン、経営管理プラットフォームに必要な新たなツール導入、社内リテラシー向上に向けたプロモーションとトレーニング等へつなげていく必要がある。経営DXによる企業変革の道のりは長く、モチベーションと成果を維持しながら幅広いテーマで変革していかなければならない。

Ridgelinezでは、経営管理DXの企画・構想だけでなく、実行・定着においても多くの日本企業と伴走してきた実績があり、その中で得た学びは今後テーマごとに整理・共有していく予定である。これから経営管理DXを推進していく読者をはじめとするチェンジリーダーと伴走し、データドリブンな企業変革のゴールまでご支援したいと考えている。

執筆者

  • 西尾 佳祐

    Senior Manager

※所属・役職は掲載時点のものです。

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