AI×R&D

AI×R&Dによる価値創造 ― イノベーションの新しいカタチ

研究開発における環境変化

製品のライフサイクル短縮化、市場ニーズの多様化、グローバル競争の激化などにより、従来の研究開発手法では競争優位を維持することが難しくなってきています。さらに、AIの進展によって、価値創出のあり方も大きく変わりつつあります。企業全体、研究開発部門、そして研究者個人が同時に変革に取り組む必要があり、AIはその変革を加速する強力なドライバーとなります。

① 企業が受け止めるべき環境変化

グローバルな競争激化や技術革新の加速により、従来の製品開発プロセスでは競争力を維持することが困難になっています。そのため、AIやデジタル技術を駆使した効率的かつ戦略的な研究投資を行うことが求められています。そこで、研究開発のROI(投資対効果)を高め、明確にするため、AIを活用した戦略投資の最適化や効果測定が重要な課題となります。

② 組織が受け止めるべき環境変化

AIやシミュレーション技術の発展により、研究開発プロセスが劇的に効率化され、単なる革新的な素材の追求だけでなく、低コスト化、用途拡大、サステナビリティ対応などが求められています。
また、研究開発部門には課題設定や価値判断能力の高度化が求められています。さらに、従来の縦割り・個人中心の体制から脱却し、組織横断的・異分野連携を通じて新しい価値を創出することが重要であり、データ活用や組織を超えた協業を可能とする仕組みづくりが不可欠となっています。

③ 研究者個人が受け止めるべき環境変化

AIの導入により、従来の個人の経験や勘に基づく研究スタイルが変容を迫られ、研究者には、AIが担うことのできない高付加価値な思考力の発揮が求められています。具体的には、研究者にはAIを活用したデータ解析やシミュレーション結果に基づく高度な洞察、課題を創出するクリエイティブな発想が求められます。

研究開発におけるAIの役割と変革ポイント

AI技術の進化により、研究開発のプロセスは大きく変わりつつあります。AIは膨大なデータを収集・分析し、研究開発戦略を高度化することで、従来の経験や勘に依存した意思決定を、データドリブンなアプローチへと進化させています。具体的には、以下のような領域でAIの活用が加速しています。

① 戦略策定の高度化

AIは、研究戦略の立案において、膨大な情報をリアルタイムに理解・整理し、研究開発の方向性を的確に導きます。数百万件に及ぶ論文や特許情報を瞬時に解析し、新たな技術トレンドを特定できます。また、市場動向や企業の投資状況を横断的に分析することで、数年後に成長が見込まれる技術領域を予測し、研究リソースを最適に配分することが可能です。これにより、研究開発のROIが明確化され、競争力のある研究開発投資の実現が可能になります。

② 社内ナレッジの蓄積と活用

研究開発の現場では、過去の知見を活かせるかどうかが成功の鍵を握りますが、従来のナレッジ共有は属人的で、膨大なデータの中から適切な情報を探し出すのは容易ではありませんでした。しかし、AIによって、必要な知識を瞬時に提供することができます。さらに、AIは研究者のアイデアや仮説を解析し、類似した研究成果や未踏の技術領域を提案することで、新たな研究の突破口を開くことが可能になります。

③ ターゲット探索と試行プロセスの高速化

従来の実験アプローチでは、多くの試行錯誤が必要となり、時間とコストがかかっていました。しかし、AIにより、最適な実験計画をダイナミックに生成し、効率的にターゲット物質を発見することが可能になります。AIはシミュレーション結果を解析し、最適な実験パラメータを自動提案することで、研究者は手作業による調整を最小限に抑えながら、高速で新素材の候補を特定できます。また、自律型ロボットと連携し、実験を自動実行することで、データ収集から分析までのプロセスが劇的に短縮されます。これにより、研究者は創造的なブレークスルーに集中できるようになります。

AIと人間の協働による新たな研究開発の形

AIの発展により、探索的な基礎研究における人間の役割が縮小する一方で、研究者の価値は「AIでは対応できない領域」へとシフトしています。具体的には、以下のような役割が研究者に求められています。

  • AI分析結果に基づく新たな研究課題の設定
  • 市場ニーズを捉えた応用技術の提案と実用化戦略の立案
  • 異分野連携を通じた新規アイデアの創出と実験結果の洞察

将来的には、AIと人間が協働する研究体制が一般化し、シミュレーションと実験のサイクルをAIが自動的に回しながら、研究者がその結果に基づき戦略的な意思決定を行うという、新しい研究開発の形が求められるでしょう。

Ridgelinezは、これまでのデータ視点からR&D領域の課題解決に取り組んできた経験、研究者の方々と共同研究を行ってきた知見を活用し、AIを活用したR&D領域の変革を支援します。

AI×R&D サービスメニュー

  • R&D戦略策定支援
  • 知識探索と社内データ活用支援サービス
  • データ駆動型R&D支援サービス

AI×R&D 事例紹介

自動車部品メーカーにおけるDX支援

大手素材メーカーでは、研究開発の多くが過去の延長線上で進められ、新たな市場ニーズに十分対応できていないという課題がありました。革新的な技術が求められる一方で、研究者は市場動向を把握する手段が限られ、自身の研究の市場価値を最大化する機会を逃していました。

Ridgelinezは、この課題を解決するために、大規模な市場情報(ニーズ)と社内の研究データ(シーズ)をAIで解析・統合し、市場ニーズと研究テーマの最適なマッチングを実現するシステムを開発しました。本システムにより、研究者は自らの研究が市場でどのような価値を持つのかを可視化できるようになり、従来気づかなかった新たな研究テーマの創出が可能になりました。

導入効果

  • 研究開発の方向性の最適化:従来の社内データに閉じることなく、市場動向を踏まえた研究テーマ設定が可能。
  • 研究スピードの向上:適切な研究テーマの選定により、開発の試行錯誤を削減。
  • 事業貢献度の向上:市場ニーズを捉えた研究にシフトし、商業化の成功確率が向上。