COLUMN
2023/11/15

自動車業界の電動化に挑むIHI。カギを握る「テーラーメイドのリスキリング」

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「資源・エネルギー・環境」「社会基盤」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4分野で事業を展開し、売上高1.5兆円規模を誇るIHI。

同社の主力事業の1つであるターボチャージャー(過給機)を担う車両過給機SBU(Strategic Business Unit)は、自動車の電動化に対する市場ニーズを敏感に捉え、いち早く燃料電池車(FCV)向けの電動ターボチャージャー(ETC : Electric TurboCharger)の開発に着手 。しかし、その中で浮上したのが、電動技術に関する人材リソース確保という課題である。

そこで、同社は既存のエンジニアが電動ターボチャージャーの設計・開発領域に踏み出せるよう、リスキリングをRidgelinezに依頼した。 Ridgelinezが全体のプランニングとマネジメントを行い、富士通の技術者がIHIの各領域担当者とともに教育コンテンツ作成・講義実施を担うという3社の強固な連携体制を敷き、電気回路と組み込みソフトウェアの2つの領域について試験的な講座を開発。IHIから各講座にそれぞれ5名の受講者が参加し、数十時間にわたる講義を実際に受講した。現在、本格展開に向けて、受講者からの反応も取り入れ、さらなるブラッシュアップを図っている。

IHIが直面した課題に対して、Ridgelinezと富士通がどのような解決策を提案したのか。また、独自に築いたリスキリングプログラムをIHIはどのように評価しているのか。プロジェクトに関わった3社の中核メンバーに話を聞いた。

内燃機関から燃料電池へ。事業構造激変の中、「リスキリングは不可避」

-IHIにおける燃料電池向けの製品開発についてご紹介ください。

IHI 武井 燃料電池向けのETC開発は、世界的な環境課題において注目されるカーボンニュートラルの実現に寄与すべく、2000年代前半に始動した取り組みです。

我々は1960年にトラック用に採用されて以来、現在まで、長きにわたってガソリンエンジンやディーゼルエンジン向けのターボチャージャーを開発してきました。

そのような我々にとって、欧州連合(EU)が2022年に表明した「2035年以降の内燃機関車の販売禁止」という方針はまさに青天の霹靂でした。その後、結局宣言は撤回されたものの、IHIとして次世代のビジネスを見据える1つの契機となりました。

実際のところ、十数年前までは研究段階だった燃料電池が、加速度的な勢いで技術の進化を遂げ、現在では燃料電池自動車(FCV)というかたちで生産され、日の目を見ています。

従来型のターボチャージャーの市場を50年以上牽引してきた立場として、これまで培ったケイパビリティを武器に様々な燃料電池システムの性能・コスト・信頼性などの要求にも対応すべく、高効率な燃料電池向けのETCの開発に踏み出しました。

【図1】ETCの概念図と外観イメージ

(出所:IHIサイト製品紹介「燃料電池向け電動ターボチャージャー」
https://www.ihi.co.jp/turbocharger/products/electric_turbocharger/index.html#e01

-今回ETCの開発に向けてリスキリングを実施するきっかけとなった背景や課題をお聞かせください。

IHI 武井 ETCは、排ガスのみで動く従来型のターボチャージャーとは異なり、インバーターやモーターなどの部品で駆動する電動製品です。また、それらはソフトウェアによってシステムとして制御されるものです。そのため、ETCの設計・開発を進めるうえで、エンジニアはシステムとしての燃料電池を理解し、電気回路やモーター、組み込みソフトウェアに関する新たな専門性が求められます。

専門のスキルを有する人材の採用にも継続的に取り組んでいますが、それだけでは追いつかない現実を前に強い危機感を抱く中、近年よく耳にするリスキリングという手法に着目しました。数年前には新聞で「ヨーロッパの大手自動車部品メーカーが大々的にリスキリングを行っている」という記事を目にし、成功体験として背中を押されたことも覚えています。

リスキリングが有効と考えた背景として、もう1つは外部からの人材よりも、従来のターボチャージャーを熟知した既存のメンバーが新たにETCの設計・開発を行うからこそ、お客様に対して優れた製品を提供できるのではないかという考えがありました。

株式会社IHI 車両過給機SBU副SBU長 技術統括センター長:武井伸郎︎ 氏

IHI 森(淳) IHIは10年以上前からETCの研究開発を行っていたので、知見が全くないというわけではなく、早期からプロジェクトで活躍するメンバーが数名いました。

しかし、市場ではカーボンニュートラルの動きが活発になったことにより、ここ1〜2年でETC開発の引き合いが急増したのです。プロジェクトが複数動き出したので、社内のリソースに頼るOJTだけで賄うことは困難になっていきました。OJTが行えたとしても、実務レベルのスキルを習得させるまでには数年かかる想定です。

このままでは市場のニーズに対応しきれなくなると懸念し、中長期的な目線でETC事業を強化するためには外部の専門家を招いたリスキリングという手段が欠かせないと判断しました。

富士通グループのケイパビリティを凝縮した育成カリキュラムが採用の決め手に

-課題解決に向けて、Ridgelinezへ提案を求められた経緯を教えてください。

IHI 森(淳) 本件を担当してくれているRidgelinezの菊地さんには、以前、我々の事業構造改革を支援していただきました。それ以降も菊地さんとは定期的に情報交換を行ってきました。長いお付き合いの中で、我々の事業内容はもちろんのこと、経営の方向性や文化、思考まで理解いただいている感覚があり、「あえて口で言わなくても困りごとに気付いてもらえる」という信頼感すら芽生えていました。

リスキリングはIHIにとって今回が初の試みです。そのため、誰を対象にどのようなカリキュラムを組み、どこを目標にするのかなど、最初から具体化できていたわけではありません。そのような漠然とした状態でも、きっと菊地さんなら汲み取ってくれるだろうと、迷わずに声をかけた次第です。

相談の段階でRidgelinezとともに、「受講者が業務で使える実践的な知識や技術を習得できること」「単発の講座ではなく、事業戦略や人材戦略と結びついた人材育成の仕組みとして確立させること」という2つの要件を具体化しました。

株式会社IHI 車両過給機SBU電動過給機プロジェクト部長:森淳 氏

-IHIからのリクエストを、Ridgelinezはどう受け止め、どのような提案をしましたか。

Ridgelinez 赤荻 まず我々は富士通グループとして、富士通がサステナブルな世界の実現を目指して掲げる「Fujitsu Uvance」に基づき、製造業の持続可能性に向けた取り組みを支援するという発想が土台にあります。IHI様の課題感は我々のミッションとまさにリンクしたため、切実な声としてダイレクトに受け止めました。

Ridgelinez 菊地 IHIの皆様とはとても長いお付き合いで、これまでの歩みや昨今の状況も理解していたので、ETCの重要性がよく分かりました。IHI様はどんなに困難な状況でも前を向き、乗り越える底力をもつ企業です。また、エンジニアの個々のスキルや意識も非常に高いので、リスキリングの相談をいただいたときは、適切な教育の機会が与えられれば間違いなく伸びるという確信がありました。

そこで、IHI様から提示された要件を踏まえ、大きく以下の2つのポイントでリスキリングを提案しました。

  1. グループである富士通と連携し、富士通の実務専門家がIHI様の業務を踏まえてオリジナルのカリキュラムを構築する
  2. IHI様の今後の事業戦略も踏まえたうえで、人材戦略の一環としてリスキリングを位置づけ、長期的な活動としてPDCAサイクルを確立し、教育の仕組みとして確立する(図2)

さらに、リスキリングを本格的に運用するまでに「パイロットフェーズ」「本格展開準備フェーズ」「本格展開フェーズ」という3つのフェーズを定義し、段階的な推進を提案しました(今回は、パイロットフェーズ)。

【図2】 IHI車両過給機SBUにおけるリスキリングの位置づけ
Ridgelinez株式会社 ディレクター:菊地穣

-富士通は今回の提案に向けてどのようなチーム組成を行ったのでしょうか。

富士通 深町 富士通にはお客様ごとに営業担当チームが存在し、それぞれの課題にお応えできるソリューションを持った事業部をお客様と結びつけます。

今回は、Ridgelinezと密に連携しながら、設計領域のアウトソーシングサービスを展開している事業部と、車載の組み込みソフトウェア開発支援を行っている事業部から成るチームを組成しました。IHI様が必要としたリスキリング対象のスキルが、電気回路・ソフトウェアと複数領域にわたったため、専門分野の担当者を集結したかたちです。

提案に向けて、Ridgelinez、両事業部、営業担当で課題解決に直結する良い取り組みになるよう議論を重ねました。

富士通株式会社 クロスインダストリーソリューション事業本部 シニアディレクター:深町幸士朗 氏

-Ridgelinezの提案を受けて、リスキリング発注の決め手となったポイントや期待した成果はどのようなものでしたか。

IHI 森(孝) まだ漠然としていた我々の課題認識に対して、具体的な解決策を提示してくれたことがRidgelinezに発注した決め手です。特に、富士通グループとしての提案が刺さりましたね。富士通のものづくりの豊富な知見とRidgelinezのコンサルティング力による相乗効果は、唯一無二の価値ではないでしょうか。

また、すでにETCの開発を先行して進め、少人数でプロジェクトを支えているメンバーたちの負荷が軽減されるよう、講座では彼らの知識も織り込みながら、学術的な背景知識も含めて吸収してもらいたいと期待しました。

株式会社IHI 車両過給機SBU副SBU長 生産統括センター長:森孝志 氏

IHI 武井 Ridgelinezが提案したリスキリングは、eラーニングのような既存の教育コンテンツを使ったものではなく、我々の課題に対して富士通のケイパビリティを凝縮したテーラーメイドのプログラムでした。

車載の規格や電動ターボチャージャーの特性など、実務を踏まえて業務内容に特化したカリキュラムは我々の理想を超えるものでした。

-現在完了しているパイロットフェーズにおいて、スコープとした範囲や大まかなタイムライン、こだわったポイントなどを教えてください。

Ridgelinez 菊地 パイロットフェーズでは、インバーターを設計するための「電気回路」と、制御のための「ソフトウェア」の2つの講座に限定しました。リスキリングを受けたいと立候補した10名の対象者に向けて、カリキュラムを作り、講義を行っていきました。

6か月にわたり、だいたい週1回ペースで講義を開催することを想定しました。前半は学術的な内容を解説する基礎編、後半はより業務に近い実践的な内容を学ぶ実務入門編として定義しました(図3)。各講義の都度アンケートにて習熟度を測りながら、本格展開に向けた改善点の洗い出しや具体的な方針の整理も進めました。

富士通 深町 富士通として、実務入門編では現場で即戦力となるスキルを習得してもらえる演習カリキュラムにこだわりました。回路のシミュレーターを用いた演習では、受講者の皆様が瞳を輝かせて取り組み、非常に有意義だったと思います。

【図3】 リスキリングのアプローチ

-実際にリスキリングプロジェクトを進める中での率直な感想をお聞かせください。

IHI 武井 富士通とRidgelinezが1つのチームとしてうまく機能していると感じました。富士通の皆さんは我々のメンバーも適切に巻き込みながら、要望を的確に捉えつつ、業務理解も深めたうえで講座を整備してくれたと思います。

提案時の「単発の講座ではなく事業戦略や人材戦略と結びついた人材育成の仕組み」というコンセプトを着実に実践してもらえて、まさに「我が意を得たり」です。

-プロジェクトを進めるうえでの懸念点や、実施中に苦労した点はなかったのでしょうか。

富士通 小原 もちろん、すべてが当初の予定通りに進んだわけではなく、実際にパイロット講座にスケジュールの遅れが生じるという事態も発生しました。これは、開始前に行ったスキル診断で受講者の皆様のレベルを正確に把握しきれず、基礎編の講座内容を軽くしたことに起因しています。受講者の理解度に応じて躓いているポイントを明らかにして丁寧なフォローを行ったことで、当初想定からスケジュールの見直しが必要となりました。

Ridgelinez  菊地 スケジュールの見直しを受けて、詳細に原因を分析しました。その結果、上記のように丁寧なフォローが原因であったため、後半(実務入門編)ではアプローチを変更し、スケジュールを守ることを優先しました。理解度の低下が心配されたため、習熟度を継続して追いかけて必要なアクションを検討していきました。なお、習熟度の計測では状況が一目で把握できるよう、アンケートをもとにグラフで可視化し、チーム内で共有していきました。

IHI 武井 IHIとしては、スケジュールの遅れは丁寧なフォローの裏返しだったと捉え、ネガティブには受け止めませんでした。後半では、フォローを簡素化していただく代わりに、模範解答を事前に受講者に提示してその解説をするという形式へ講義を変更しましたが、その工夫も小回りの効いた対応で、ありがたかったです。結果的として、理解度に関しても、アンケート上での変遷を見る限り、そこまで下がらずに済みました。

富士通 深町 我々のチームにとって、実は車載用インバーターに関する技術支援というのは今回初めてでした。そのため、IHI様にも多大なご協力をいただきました。現場が抱える技術的な課題を詳しく教えてもらいながら、実務に関して教える内容が深すぎる場合は簡素化するなど、リスキリングのプログラムを微調整していきました。

6か月のリスキリングは「数年間の業務相当の習熟効果」。人材の即戦力化を確信

-パイロットフェーズを終えた現時点でのリスキリングの成果について、どのように評価していますか。

IHI  森(淳) 社内のチームリーダークラスの方にインタビューをしたところ、多くのポジティブな回答が得られました。例えば「今回の講座によるスキル向上の効果は、見方によってはOJTを数年間実施したレベルに匹敵する」「チームメンバーに対して電気回路やソフトウェアに関する疑似的な課題を出したところ、講座の受講者は見事に回答できた」「既存メンバー全員に今回のカリキュラムを受講させることは、チーム全体としてのスキルの底上げにつながる」などです。

マネジメント側の視点でも、今回のリスキリングは大変有効だったと判断しています。プログラムを実施するまでは、長期的な視点での効果を見込んでいましたが、即戦力につながることが早い段階から確信できました。

また、プログラムに参加したエンジニアが非常に高いモチベーションで前向きに取り組めたことも喜ばしく、良質な講座だった証と言えるでしょう。

冒頭で武井が話したように、自動車業界で内燃機関が減っていくというニュースも多い中、将来を不安視しているエンジニアは少なくありません。そのような状況で、今回のリスキリングは、各自が新たなスキルを身につけることによって、これからも社会に貢献していけるという自信になり、意識の変革にもつながったと思います。

IHI  武井 実際にリスキリングを実施するまでは、Ridgelinezと富士通の提案に期待を寄せる一方で「機械系出身のエンジニアが数か月の講座でソフトウェアや電気回路を扱える人材になるのだろうか」と、懐疑的な見方もしていました。しかし、実際は多大な効果を確認でき、現場からの歓喜のフィードバックに驚いています。

-今回のプロジェクトの伴走者として、富士通とRidgelinezの側はどのように感じていますか。

富士通 小原 リスキリングという今回の活動を通じて、IHI様の新しい事業・業務を共に創り上げることができたと感じています。チームリーダーの皆様と密に議論を重ね、良い取り組みになったことは、当社としても大きな財産です。

Ridgelinez  菊地 IHIの皆様は、コンサルタントやベンダー任せにするのではなく、すべて自分ごとと捉えて一緒に新しい価値を生み出そうというスタンスで臨んでくださいます。その期待に応えるべく、私たちも「もっとお役に立ちたい」という想いで、前向きに本件を推進してきました。

前例のない新しい道を切り開こうとするフロンティアスピリットは、我々にとっても大きな刺激となりました。富士通の皆さんも同じ気持ちだったはずです。

本格展開に向けてカリキュラムのさらなるブラッシュアップへ

-今回の取り組みを踏まえ、今後計画していることがあれば、お聞かせください。

IHI 武井 まずは今回構築したリスキリングの仕組みを本格展開していくことと、今回対象外とした領域である「システムとしての燃料電池」「高速モーター」に関する講座を作ることが直近の目標です。「電気回路」と「ソフトウェア」の領域は、Ridgelinez、富士通の皆さんとともに今回のパイロット講座を本格展開するため、今回の経験を踏まえ、現場で即戦力になるレベルを目指せるよう、すでにカリキュラムのブラッシュアップを行っています。

また、新たな講座についても現在、体制を整備中です。均一のカリキュラムだけでなく、各人のスキルレベルに応じたフレキシブルなリスキリングメニューを提供できれば、さらに理想に近づくはずです。このあたりも引き続きRidgelinezと進めていきたいと考えています。

IHI 森(淳) パイロットフェーズでは希望者を受講対象としましたが、本格展開では人事異動に際してのリスキリングも想定しているため、中には受け身の姿勢の受講者が出てくることも考えられます。そうした受講者のモチベーションをどう高めるか、という課題も想定して適切な対策を講じたうえで本格展開の準備を進めたいと考えています。

また、我々は海外にも拠点がありますので、ETC事業の拡大に向けたリスキリングの展開を進めていければと考えています。

IHI 森(孝) 今回の取り組みは、ある意味でターボチャージャーというハードが、「つながる」きっかけとなります。製品がつながることで、お客様と「つながり」続けることができるようになります。このようなビジネスをIHI全体ではライフサイクルビジネス(※)と呼び、注力することを志向しています。ここからの展開もぜひ、見据えていきたいです。

-今回の成果を踏まえ、富士通側やRidgelinez側から今後、IHI様側に提案しようと考えていることはありますか。

富士通 深町 今回の取り組みを通じて、IHI様の業務を深く理解できました。私たちが持つケイパビリティにより、IHI様の事業拡大をさらに加速できるよう、引き続きご支援させていただきます。

富士通 小原 ソフトウェアの技術者不足は現在多くの企業に共通する社会課題です。その解決のために富士通の「ローコード開発プラットフォーム」がお役に立てると考えています。

これはモデルベース開発(MBD)の手法に基づいたプラットフォームで、あらかじめ用意されたコンポーネントを組み合わせることでプログラミングを行うことなく制御アプリケーションの作成を可能にするものです。車載ECU(Electronic Control Unit)には不可欠な機能であるCAN(Controller Area Network)通信機能を自動生成することも可能です。AndroidやエッジAIといった分野に向けたコンポーネントもご用意しています。

また継続的にソフトウェアの価値を高めていくDevOps(Development and Operations )の考え方を取り入れており、今後ますます重要となるソフトウェア開発サイクルの短期化を実現します。

このようなプラットフォームを活用することで、ソフトウェア開発スキル習得のハードルを下げるとともに、ソフトウェア技術者のスループット向上に寄与できます。

富士通株式会社 ソーシャルソリューション事業本部グループ長:小原悠児 氏

Ridgelinez  菊地 リスキリングに関しては、今後も引き続き支援をいたします。さらに、従来のターボチャージャーとETCの2事業の柱を強化すべく、事業戦略や業務の高度化を提案していきたいと考えています。業務においては、設計・開発領域だけでなく、前後工程である営業や生産までを含めて、富士通のケイパビリティを活用した高度化・効率化を皆さんと検討していきたいと考えております。

また、今回のリスキリングで獲得された電気回路やソフトウェアといった新たなケイパビリティは、例えばモビリティといった領域での活用も期待できるでしょう。こうした超長期目線で成長ストーリーを描くことも、ご一緒したいと考えております。

Ridgelinez  赤荻 EV化やFCV化など、事業構造そのものの劇的な変化は、もはや業界全体が向き合うべき課題です。IHI様は、今回の取り組みを通して、業界に先駆けて「先陣を切った」と言えるでしょう。

我々のチームのミッションは日本製造業を強くすることです。IHI様のように変化に立ち向かう皆様に伴走し、結果として日本全体を盛り上げていきたい。これからもRidgelinezだからこそできる多様な提案で、IHI様全社の戦略であるライフサイクルビジネスの進化と整合する車両過給機SBUのトランスフォーメーションへの稜線を一緒に描き、上っていければと考えています。

Ridgelinez株式会社 上席執行役員 パートナー:赤荻健仁

-最後に、IHI様からRidgelinezへの今後の期待をお聞かせください。

IHI 森(孝) 今回のプロジェクトではRidgelinezと富士通、我々の3社のケイパビリティをつなぐことで、新たな可能性が見えたと実感しています。今後も、車両過給機SBUだけでなく、IHI全社の取り組みを知ったうえで、昨今の状況に応じた我々の打ち手を引き続き、深く議論できるパートナーであってもらいたいと考えています。

(※)ライフサイクルビジネス:IHIグループが目指す事業のありかた。製品の売り切り(+メンテナンス)という従来型のビジネスから一歩進み、製品ライフサイクル全体にわたって、またお客様のバリューチェーン全体にわたって、お客様を支えるサービスを提供することを目指す。

(敬称略:前列左から) 株式会社IHI 車両過給機SBU副SBU長 生産統括センター長 森孝志、株式会社IHI 車両過給機SBU副SBU長 技術統括センター長 武井伸郎︎、株式会社IHI 車両過給機SBU電動過給機プロジェクト部長 森淳
(敬称略:後列左から)富士通株式会社 クロスインダストリーソリューション事業本部 山ヶ城 尚志、小林 隆、Manufacturing事業本部 牛山 滉太郎、Ridgelinez株式会社 シニアマネージャー 清水 義之、上席執行役員 パートナー 赤荻健仁、ディレクター 菊地穣、富士通株式会社 クロスインダストリーソリューション事業本部 シニアディレクター 深町幸士朗、ソーシャルソリューション事業本部グループ長 小原悠児、マネージャー 富樫 和治

ビジネスモデルトランスフォーメーションのソリューション紹介

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プロジェクトメンバー

  • 武井伸郎︎ 氏

    株式会社IHI 車両過給機SBU副SBU長 技術統括センター長

  • 森孝志 氏

    株式会社IHI 車両過給機SBU副SBU長 生産統括センター長

  • 森淳 氏

    株式会社IHI 車両過給機SBU電動過給機プロジェクト部長

  • 深町幸士朗 氏

    富士通株式会社 クロスインダストリーソリューション事業本部 シニアディレクター

  • 小原悠児 氏

    富士通株式会社 ソーシャルソリューション事業本部グループ長

  • 赤荻 健仁

    上席執行役員Partner

    Manufacturing, Engineering & Construction Practice Leader

  • 菊地 穣

    Director

※所属・役職は掲載時点のものです。

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