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FUJITSUファミリ会 DE&Iセミナー「不均衡を解消し、誰もが働きやすい持続可能な社会へ」

なぜ今、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む必要があるのか。D&I成功のカギとは

2022年10月18日に開催されたFUJITSUファミリ会 DE&Iセミナー「不均衡を解消し、誰もが働きやすい持続可能な社会へ」のアーカイブ動画です。

働き方やライフスタイルの変化が加速し、価値観の多様化が進んでいます。社会変化と共に「ダイバーシティ&インクルージョン」(以下、D&I)を重要視する企業が増えています。D&Iとは、人材の多様性(=ダイバーシティ)を認め、受け入れて活かすこと(=インクルージョン)を意味します。

Ridgelinezは、D&Iにおいて最も革新的・先進的な企業となり、経営課題であるダイバーシティをビジネスチャンスへと変えていくことをビジョンに掲げてD&Iを推進しています。誰もが自分らしく輝く未来を目指すD&I推進のポイントや、リーダーが大切にする想いについてご紹介します。

目次

  1. なぜ今、D&Iに取り組む必要があるのか。ダイバーシティ経営4つの効果
  2. RidgelinezにおけるD&I活動の始まりと、クレド(行動指針)の策定
  3. 有志がオーナーシップを持って取り組む5つのWGは、社員のモチベーションやスキルアップにつながる
  4. WGを支えるD&I専任組織を新設。成功のカギは“経営者と従業員の橋渡し”と“共感を生む施策”
  5. D&I推進に正解はない。推進室として、リーダーとして、“言ってもらえる自分”で居続けたい

1. なぜ今、D&Iに取り組む必要があるのか。ダイバーシティ経営4つの効果

2017年、経済産業省は、ダイバーシティ経営に関する行動ガイドライン「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」を発表しました。この中で、企業がダイバーシティを推進することによる4つの効果が挙げられています。

まず一つ目、グローバルな人材獲得力の強化。私は、様々な方とお話する立場にありますが、新卒採用や中途採用など次のキャリアをどのように歩もうかと考えていらっしゃる方々が「企業がどのようなダイバーシティ経営をし、どのような施策を打っているか」をいかに強く重視しているか、いつも肌で感じています。会社として、ダイバーシティ経営にきちんと取り組んでいるかいないかで、優秀な人材に選ばれるか選ばれないかということにつながることもあります。選ばれる企業であるために、ダイバーシティ経営に取り組んでいくことが大切です。

二つ目は、リスク管理能力の向上。企業において、商品やサービス、コマーシャルなど、発表した後に炎上することがあります。このようなことは、意思決定をする段階で多様な属性の方々と多面的な議論ができていれば、防げたことかもしれません。意思決定の場に多様な人材を置くことは、リスク管理能力の向上にもつながると考えられます。

三つ目は、取締役会の監督機能の向上。取締役会においても多様な視点を反映させるとともに、監督機能を向上させることが重要です。2021年に発表されたコーポレートガバナンス・コードの改訂においては、サステナビリティと同様、ダイバーシティも盛り込まれており、企業の対応が求められています。

そして四つ目、イノベーション創出の促進。多様な人材がいると様々なアイディアが生まれ、想像力の活性化や組織力向上につながります。その中で大切なのは、安心して発言できる環境づくりです。インクルーシブな環境づくりに取り組むことで、イノベーション創出の促進が期待できます。

これからはD&Iが経営の根幹であるという位置づけで、実現に向けたガイドラインが示されています。あらゆる企業において、ダイバーシティ経営が求められています。

 

2. RidgelinezにおけるD&I活動の始まりと、クレド(行動指針)の策定

Ridgelinezは、2020年の4月に発足しました。

D&I活動の始まりとしては、2020年8月、女性従業員全員に1on1を実施したことです。日々感じていることを共有いただき、これからどのような会社を創るか、どのようにダイバーシティの富んだ企業文化を創るか、意見を聞きました。それを契機に、課題感を持った仲間たち25名が集まり、ボランティアベースでD&Iを進めていくことになりました。

2021年3月には、クレドを作成しました。D&I活動における行動指針や標語のような位置づけとなるものです。従業員が案を出し合った後、全社投票をして、「Accept and Respect for Synergy」というクレドを定めました。

違いや多様性を受け入れることで安心を醸成し、認め合う・リスペクトすることで、学びを未来へつなげる。そして、その私共の先のお客様に価値を提供する―― そういった想いを、このクレドに込めています。

 
 
 
 
 

3. 有志がオーナーシップを持って取り組む5つのWGは、社員のモチベーションやスキルアップにつながる

現在、Ridgeinez においてD&I活動の中心となっているのは、60名強の有志で活動を行っている、5つのワーキンググループ(以下、WG)です。

一つ目は、仲間同士がつながる場を作るNetworking Team。今年は妊活、それから出産・育児コミュニティの運営をしています。例えば、小学生を持つパパママ同士のトークや、育休を取得したパパ同士のトークを、対談や座談会形式で実施し、記事にして社内に発信しています。

そして二つ目、D&Iへの理解を深めるトレーニングを企画するTraining Team。D&I基礎講座を企画し、教材づくりやスピーカーに至るまで、全て自分たちで作っています。また、2022年1月には「D&I行動宣言」という企画を実行しました。経営層に「自身が12月末までにコミットできるD&Iのアクションはどんなものですか?」という問いを投げかけ、宣言してもらいます。これを全社に公開することで、経営者としてどのようなことができるのかを考える契機になりますし、経営層がD&Iを自分ごと化していることが社員に伝わります。これを経て、経営層自身が積極的にD&I活動へ参加されたり、スピーカーとなって登壇されたりといった行動変容も起きています。

三つ目、働きやすい環境をつくるPersonnel System Team。Ridgelinez では、富士通グループ向けの制度に加え、独自の制度運用も行うなど、柔軟な働き方を実現できるよう様々な制度を整えています。それを情報収集して分かりやすくまとめ、社内に発信しています。例えば、産休を取りたい方から上がった「どんな制度があるのかがわかりにくい」という声をもとに、制度に関する情報をまとめ、出産育児制度の周知キャンペーンとしてイントラネットで公開しました。

四つ目、RidgelinezにおけるD&I活動を社内外に広めるPromotion Team。チームの方にコミュニケーションガイダンスを作成いただきました。これはうっかり使ってしまいがちな配慮が足りていないと思われてしまう言葉の具体的な例を示して、インクルーシブなコミュニケーションを推進できるようにしています。

この4つのチームで発足しましたが、今年度はWorkstyle Design Teamという五つ目のチームが生まれました。企業が重視すべき多様性の中には働き方も含まれるという考えのもと、多様な・選択できるワークスタイルを実現するというミッションのもと活動しています。

一般社員のみならず、弊社の経営層であるプリンシパル3名がスポンサーとして参画しています。WGに対して経営の視点でアドバイスをしたり、D&I活動を経営層にも浸透させるためフィードバックを行ったりています。

WGで活動するメンバーからは、

「普段の業務で関わることのない方たちと知り合えて嬉しい」

「分担された作業ではなく、自分たちで考え、実行できることが楽しい」

といった声が上がっており、Ridgelinez で働くことに対するモチベーションアップや、与えられた業務範囲を超えて自ら企画・実行できる体制により、D&I活動を通じてスキルアップにもつながるようになっています。

 
 
 
 

4. WGを支えるD&I専任組織を新設。成功のカギは“経営者と従業員の橋渡し”と“共感を生む施策”

2021年10月、有志の熱量に会社が動かされ、D&I推進のために設置された専任組織である「D&I推進室」が新設されました。CEO直轄で、現在4名で活動しています。

D&I推進の主役は、あくまで有志のWGです。D&I推進室は、WGの方々が企画立案し行動を起こすためのサポートを行いながら、External Engagement(社外への発信)、Employee Engagement(全社巻き込み施策)、Strategic Program(Equity:不均衡を是正する活動)、Operation(アワード開催や経営者へのレポーティング)といった4つの分野で独自の活動を行っています。

私たちが考えるD&I推進の「成功のカギ」は、2つあります。

一つ目は「トップと従業員のコミット」。D&I推進室は、経営側でもなく、従業員側でもなく、両方の視点を持ちながらその間を橋渡しすることが必要です。

二つ目は「従業員起点で声を聴く」。会社は環境や制度を整える必要がありますが、D&Iを自分ごと化して、働きやすい環境をつくり出すのは、現場にいらっしゃる従業員の皆さんです。そして、エンプロイー・ドリブン(従業員起点)だからこそ共感が生まれます。従業員がオーナーシップを持ち、リードすることで、他の従業員も共感できます。

従業員の声をしっかり聞きながら、経営視点も反映して活動することが、D&I推進の成功のカギだと感じています。

 
 
 
 

5. D&I推進に正解はない。推進室として、リーダーとして、“言ってもらえる自分”で居続けたい

D&I推進で私たちが大切にしていることは「言ってもらえる自分で居続けることです。経営者と従業員の橋渡しという役割上、言ってもらえる、相談してもらえる存在であり続けたいです。

しかし「言ってください」と言っても、なかなか自己開示は難しいものです。大切なのは、自己開示ができる環境づくりですね。リーダー自身がフラットで話しやすい雰囲気を作り、お互いが自分らしくいられる状態をつくることが”言ってもらえる関係”につながるのだと思います。

D&I推進には正解がありません。それぞれの組織でありたい姿は異なっており、有効な施策も異なってくると思います。その中で、着実に小さな成功を重ねて、組織の力にする。それを目指すのであれば、やはり言ってもらえる推進室であること、言ってもらえるリーダーであることが非常に大切だと感じています。

ダイバーシティ&インクルージョン推進室メンバー

  • 関 優子Ridgelinez 株式会社
    Principal、 Chief Diversity & Inclusion Officer
    約20年にわたり、コンサルティング、自動車、Eコマース業界にて経営陣と共に経営戦略、組織開発、組織・風土改革、CX、従業員エクスペリエンスなどのプロジェクトを手がける。日産自動車に加え、ブーズ・アレン・ハミルトンの米国本社に延べ15年在籍。その後、デロイトトーマツコンサルティング(経営企画担当執行役員)、アマゾン(コンフィデンシャルプロジェクト)を経て現職。 ダイバーシティ&インクルージョン推進リーダーとして、経営課題であるダイバーシティをビジネスチャンスへと変えていくことをビジョンに掲げてD&Iを推進している。

※所属・役職は掲載時点のものです